電車のボックスシートに座っていた人が突然、急に崩れ落ちたんです。皆、その様子を見ていて。何か、手を差し伸べるというような事はありません。時間も時間ですから、各々、酔っていたり、ぼんやりしています。
けれど、そのままにはできないので、声をかけたら意識はありました。ゆっくりと、本人が望むように肩を貸して、駅のホームにある椅子まで寄り添い、どうすればよいか分からないから、飲み物と、食べ物が出てくる自動販売機で分からないままに色々買って、「大丈夫ですかって?」、そしたら、その人が聞くんです。
「何で俺なんかをここまでして助けるんだって」。だから、「こうやって優しさを次の誰かに渡してください」と言いました。映画の受け売りですけど。