青と緑が重なるくらいの
記憶になった あの場所は
思い出になるには少なすぎて
辿りながら鉛筆で描いていく
初めて買ってもらった自転車で
どこまでも続いていた登り坂の
途中で下を眺めて喜べるくらい
簡単なことが出来なくなった頃
誰かと話すことが面倒になって
こっそり入れる橋の裏側で
誰にも探されていない僕を
赤い風船だけは見つけてくれた
あの時に戻ることができたのなら
泣いていたあの子に返してあげよう
そのまま変わらないで
僕だけは あの頃の僕を忘れないで
今でも路地裏みたいなところは嫌いで
昔の商店街みたいなところに行かない
何も知らずに はじめて入った
駄菓子屋さんが僕には最高の遊園地
青と緑が重なったくらいの
記憶になった あの場所から
あのとき 遊んだ彼らの今も
久しぶりなんて言えるはずもないから
大丈夫だよ 自分で思うより
誰も覚えてなんていないから
書き留めることは何もなくて
みんなの家路に向かうだけでいい