モヤモヤとした世界は、少しずつ見えるようになってきて。思いきり声を出すと、周りにいた皆が笑っていました。
頼りにするには、少しだけ。けれど思いつく限りに動いて、だんだんと隙間から入る光。風、気持ちよくて、そして、とても眩しい。けれども、すぐに抱き抱えられて、すくんだ足が、いつの間にか包まれていました。
数えながら続く階段を何回も上がって、空いている扉から顔を覗かせると、同じくらいの背丈。バタバタと、コチラに来て、「違うよ」って押されたとき。
あまり、話をするのは得意ではありませんでした。不器用は何か、「生きにくさ」という、言葉に表すには難しいものがあるのだと。
大きな橋の下。鍵は開けっぱなしで、ここは秘密の場所。誰にも教えていないのに、自然と人が集まるようになって、いちいち、考えないで笑えるようになった頃。
誰かのせいにするのを覚えました。バレないかとヒヤヒヤしていたくせに、いつのまにか、また、誰かのせいにして。寒くもないのに、カタカタと震えてる左手をポケットに入れて強がることも覚えました。
輝くような未来を見つけたような優越感に浸って。それは、自分が感じていただけであって、現実はすぐに、本来いるべき場所に戻していくような、何か、不思議と何も考えなくなったんです。
信じることをやめました。自分と誰かの四苦八苦が混ざり合い、身に覚えのない裏切りは膨れ、振り返れば後ろ指を指されているのが見えるところにいるのに、耐えられなかっただけ。誰かにとっては瑣末なことです。
ここから先は同じことの繰り返しですから、巻き戻して最初から言葉を繋いでいく。これくらいのほうが楽なんだと知りました。「あれこれ悪かった」と悪態をついて助けを求めるより。だから、この話はここでお終い。