薄い壁越しから声が聞こえて、「アイツがダメだったら」と聞こえました。その部屋のドアが開いて、満面の笑み。そして、私の両肩をバンバンと叩いて、「頑張れよ!」と言うんです。
次の日には、就業前の休憩所。機嫌が悪いようで、誰かを叱ってスッキリしようと言っている人。入社の時に優しく教えてくれた先輩は、ずっと下を向いて、真面目な表情で謝っていました。これは、どこも同じなのでしょうか。
世の渡りに必要な平和の通行量は、日を削って生きながら付き合う言葉の同調と相づち。あるとき、ガラス越しに、ふと自分の顔を見たんです。嘘をつくときの笑顔。いつの間にか得意になっていました。これが大人というなら、いつか覚める夢であって欲しいと思うんです。