帰り道、公園周りの道ばたに落ちていた空き缶を蹴り上げる。高く上がった空き缶は、草も生えないほどの硬さに固められた土の上に落ちた。少しハネたように見えるが、結局はすぐに、その場所に落ちついた。
少しでも、良い場所に。そう思っても、すでにベコベコにへこんでしまった後では、移り変わるのは難しい。この社会は最近、SNSで殴られっぱなしのまま、いなくなる人がスゴく多くなった。何も言わずに。タイムラインの更新だけが止まって。
でも、それすら、誰にも気付かれず、何が起きたのかも知られぬまま、通り過ぎる情報の中にしずんでいくんだろう。歴史の勉強をすれば、今がどれだけ平和な時代になったのか錯覚できる代わりに、自分の心の形は忘れてしまった。