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書き綴る文章と書きつづる心言葉

100人以上が座れる空間なのに、感じたことの無いような圧迫感。

それはそうだ。

今、誰もいない、只々とだだっ広い外向けの綺麗に整えられたフリーアドレス方式の、見かけは綺麗なオフィスで退職届けを書いている。

昨日見た映画で、人生を変えられるような気になって環境を変えること決めた。

ハッピーエンドともバッドエンドとも、観る人によって変わるだろうそのエンディングを。

しかし、どうだろう。

木曜日か月曜日、祝日の前、共に共通の価値観であることを強制されながら、朝方になると嗚咽に叱られて起きる毎日を繰り返し、数十年という人生の半分以上をココで過ごすことに疑問を持っていない人が果たしているのだろうか?

そう、細かい話しだが退職願ではない、辞職の使い方も間違えない。

退職届だ。

色々な感情が入り乱れる中、その内のひとつの悲しみを抱えながら、書き終わった後だって、オフィスの全ての照明を消してその日、最後のログに残る自分のセキュリティーカードを通してオフィスの全ての出入り口に決められた番号の全てが、しっかりと赤く光るキーロックシステムで正常なのを確認する。

何か細かい異変を感じれば、すぐに暖簾をくぐる約束の声を掛けてくる人がいる。

そういう部署というか担当だからしょうがない。

いや、むしろそうして細かい異変を拾うことで、自分の場所を安全に確保するための労作を常に考えて、それが修正するための日課となっているのだろう。

それだって、その人にとって必要な事なのだから、どうのこうの言う立場にはない。

でも、そんなことだって、その人にとっては関係の無いことだ。

助けを求めても、それはその人にとって都合のいいように内容は変えられて、問題の解決と言うよりも、いつでも調整が可能な問題因子として管理されるキッカケを作るだけだろう。

グラスを交わして飲む会話の回数がその人の評価や価値を決めてしまうことに、一番気をつけなければいけないことは誰もが知っている。

世間一般的に言えば「人の口に戸は立てられない」。

それでも、それを断りつづけていれば別の名前をもらうだけ。

どこにいっても社会というモノはそういうことらしいと悔しさを滲ませて考えている。

社会の仕組みがどうかは定かではないが、会社組織というのモノは、何かを達成する時の足の引っ張り合いで最後に立っていた人が賞賛を得る。

そんなのはどうでもいいとか行っている内にどんどんとポジショントークの現実が積み重なってくる

優しい世界を語る経営者の裏側を知るのはそれほど難しくはない。

本当の退職理由を書く人はほとんどいないだろう。

本当に理由を書けば、それこそ今より現状が酷くなる場合がほとんどだ。

それは、誰かを守ると言うことではなく、本当は一緒に沈んだっていいのだという気持ちとの葛藤の中で、結果的にもうこれ以上で関わりたくない気持ちが勝って生まれる理由である

笑顔で送り出す同僚も含めて、本音と行動の違いに誰かの去り際がもっとも理想との乖離で心を消耗するときだ。

けれど辛い現実もあった。

抗えないプライドとはまたちがう、得もいえぬ衝動と葛藤、もはやそれが現実なのか分からないくらいの焦燥。

転職先は決めてから辞めた方がいいのか、一度落ち着いた方がいいのか。

それともいっそのこと目的も見えないまま独立してしまった方が良いのか。

こんなモノを書いている時点で出来ている準備なんかほとんど意味が無い。

感情のまま、好きな事を生きることがどれだけ素晴らしいかをスマホの中が語っている

そんなものがどこにあるのか、具体的な場所を教えてくれる人がいないことは誰にだってすぐに分かる

だれだってかっこ悪い部分は絶対に言わない。

だから人生を気持ちよく過ごせてる本当のやり方だって言う人なんかいない。

でなければスマホで救える世界、そんな単純じゃない。

「一身上の都合により」なんて書きながら、本当のことが書けない悔しさに歯を食いしばる

それでも、自分がいなくても回る世界に憤りながら、苦手な細いペンで書いていく。

プリントアウトして書くよりは体裁的によっぽど良いだろう。

もはやそれくらいの気持ちにならないと、どうにかなってしまうからだ。

自分に付いた社会的な名前を捨てる動作に、どうしてこんなに悩まなければならないのだろう

きっと、これは時が経てば経つほど、そして上になってしまえば更に書きにくくなるものなんだ。

そんなことを思いながら、どれだけシステム化が進んでもこの部分だけはデジタルにならないせいで作る事になったこの用紙を、webサイトを見ながら覚えた紙の折り方で包んでいく。

むしろ、この折り方を調べたログさえも、退職までの間に調べられる可能性もあるのだろう。

そうして書き終えたまま、暖簾をくぐりに行くわけなどなく、とくに連絡の必要もないだろう。

声を掛けられたときには複数人が誘われていた。

オフィスのセキュリティーを確認する。

真っ暗だ。

唯一、感じ取れる明かりと言えばオフィスの外の明かりと非常灯、そしてエレベーターの行先階を示すボタンの照明。

明日はさらに追い打ちを掛かるように、退勤時間とオフィスのセキュリティーが作動した時間の違いの間に何をやっていたのか聞かれるのだろう。

大丈夫。

その時に渡せば良いだけだ。

おそらく、こんなことを繰り返しながら自分を納得させて生きている人々がほとんどなのだろう。

それはそうだ。

周りもそうなんだと思わなければ、生きている意味さえ失ってしまうほどの出来事だ。

共感とか仲間としての気持ちとか、誰かが人生の方向性を変えることに誰も本当の意味で関心など持たない。

「あの人がいなくなった場合に自分にどんな影響があるのか」

これが本音。

でも、それが当たり前だし、自分自身も気にする必要はない。

気にすることがあれば、そもそも辞める必要なんてないんだから。

会社組織で生きていくなら、常に誰かにとって都合の良い人でなければいけない。

そんな毎日にちょっと疲れただけ。

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著者

複数のブログサイト制作と運営、イラストデザイン、3DCG制作、エッセイや短編小説、私小説などの、色々なコンテンツを制作しています。







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